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短期間の瞑想トレーニングでも、安静時の脳活動は変化する

短期間の瞑想トレーニングでも、安静時の脳活動は変化する

瞑想の初心者に対する短期間の瞑想トレーニングが、どのような影響を与えるかを調査した論文をご紹介します。

参加者は瞑想経験のない28人(最終的な分析は25人)が対象でした。

実験グループは8週間のタオイズム瞑想コースを受講し、対照グループ(実験の比較のために瞑想しない人たちですね)はオーディオブックを聴くという研究方法です。


実験グループはトレーニング後、安静時の脳活動および心拍変動において特定の変化を示しましたが、瞑想中の変化は観察されませんでした。

この研究で言いたいことは、「短期間の瞑想トレーニングでも、安静時の脳の状態が変化する(ので、初心者が瞑想の進行状況を評価するためには、瞑想中ではなく安静時の脳活動を分析することが重要)」ということ、「やはり瞑想は続けていくとより良い効果をもたらしてくれるもの」ということですね。




「タオイズム瞑想とは…?」の解説を以下にしておきますね。

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【タオイズム瞑想】

タオイズム瞑想(道教瞑想)は、中国の道教に根ざした瞑想法で、心身の調和と内的な静けさを追求することを目的としています。

この瞑想は、精神的な成長や健康の向上を図るために、心と体を調整し、エネルギーの流れを整えることに重点を置いています。


①呼吸法: 呼吸を意識的にコントロールし、深くゆっくりとした呼吸を行います。これは、心を静め、体内のエネルギー(気)の流れを整えるために重要です。

②姿勢: 瞑想を行う際の姿勢は非常に重要です。背筋を伸ばし、リラックスした姿勢を保つことで、エネルギーが自然に流れるようにします。

③ボディスキャン: 自分の体の各部分に意識を向け、緊張をほぐしてリラックスさせる技法です。これにより、心と体のつながりを感じ、内的なバランスを取ることができます。

④内観: 自分の内面に意識を向け、心の状態を観察します。雑念が浮かんできた場合は、それを静かに手放し、再び自分の内面に集中します。

⑤エネルギーの循環: タオイズム瞑想では、体内のエネルギー(気)がどのように循環しているかを意識します。特に丹田(下腹部にあるエネルギーセンター)に注意を向け、エネルギーをそこに集中させることが多いです。

⑥イメージングとビジュアライゼーション: 特定のイメージやビジュアルを使って、心の状態やエネルギーの流れを調整します。自然の風景や光の流れをイメージすることが一般的です。

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 下記、研究の要約まとめです。

Short-term meditation training alters brain activity and sympathetic responses at rest, but not during meditation

Rusinova A, Volodina M, Ossadtchi A. Short-term meditation training alters brain activity and sympathetic responses at rest, but not during meditation. Sci Rep. 2024 May 15;14(1):11138. doi: 10.1038/s41598-024-60932-8. PMID: 38750127; PMCID: PMC11096169.


『短期間の瞑想トレーニングが安静時の脳活動と交感神経の反応を変化させるが、瞑想中は変化しない』


【背景】
瞑想は、注意力、集中力、創造力、問題解決能力などに好影響をもたらすことが知られており、心理的ストレスの軽減や情緒安定性の向上、心血管機能の改善など多くの健康効果が報告されています。しかし、初心者が瞑想の効果を実感するまでに必要な練習量や、その効果を客観的に測定する方法については、まだ十分に解明されていません。


【目的】
本研究の目的は、瞑想の初心者に対する短期間の瞑想トレーニングが脳活動および自律神経系(ANS)の反応にどのような影響を与えるかを調査することです。特に、安静時と瞑想中の脳活動およびANSの指標を比較し、瞑想トレーニングの効果を評価します。


【方法】
瞑想経験のない参加者を実験グループと対照グループに分け、実験グループは8週間のタオイズム瞑想コースを受講し、対照グループは同期間にオーディオブックを聴きました。両グループはトレーニング前後にEEG(脳波)、光電式体積脈波記録(PPG)、呼吸、皮膚電気活動(GSR)の測定を行いました。


【測定】
EEG(脳波): 30チャンネルのワイヤレスEEGシステムを使用して脳活動を測定。
PPG(光電式体積脈波記録): 心拍変動を評価。
呼吸(RESP): 鼻呼吸センサーで呼吸を測定。
GSR(皮膚電気活動): 皮膚の電気活動を測定。


【結果】
安静時の変化: 実験グループは安静時にシータ波およびアルファ波の増加を示し、心拍変動の指標にも変化が見られました。これらの変化は、瞑想トレーニングが安静時の脳活動およびANSの活動に影響を与えることを示しています。
瞑想中の変化: 両グループともに瞑想中の脳波およびANSの指標に有意な変化は見られませんでした。


【考察】
本研究の結果は、瞑想初心者に対する短期間のトレーニングが安静時の脳活動と交感神経の反応を変化させることを示していますが、瞑想中の生理学的変化には影響を与えないことが示唆されています。この結果は、初心者の瞑想進行状況を評価するためには、瞑想中ではなく安静時の脳活動を監視することが重要であることを示唆しています。また、16時間のトレーニングは、瞑想中の個々の戦略形成には不十分である可能性があります。


【結論】
短期間のタオイズム瞑想トレーニングは、安静時の脳活動と交感神経の反応に特定の変化をもたらしますが、瞑想中の変化は観察されませんでした。瞑想の初心者に対する進行状況を評価するためには、安静時の脳活動を監視することが重要であり、瞑想中の生理学的変化を検出するためには、より長期間のトレーニングが必要であることが示唆されます。

引用文献は下記よりご覧下さい.

もし、掲載内容と論文に誤りがございましたらご連絡いただけると幸いです。

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