Mail Magazine
133:掃除とヨガ
先週の火曜日、12月13日は正月事始めの日でして、江戸時代では松迎えや煤払いなど、正月に向けての準備をし始める日でした。この日には、武家、町家を問わず江戸中で煤払いが行われていたようで、正月を迎える前に行う、一同揃っての賑やかな行事だったみたいです。今となってはイベント玉手箱みたいな日本なので、プライベートもコマーシャルもクリスマス色が強いことの方が多いのではないでしょうか。
「暖かい日に窓掃除を終わらせた」とか「水回りを掃除した」とか、早い方は着実に年末に向けての大掃除をされていることかと思います。さらに上には「日頃から細かいところまで掃除しているから慌てる必要が無い」という掃除エリートの方もいらっしゃることかと。ちなみに僕は毎日排水口まで掃除したい人間なので、小姑って呼ばれることがあります。
今ではファッショナブルなヨガのイメージですが、昔のヨガと聞くと、皆さまどんなイメージを持たれますか。修行や苦行などの厳しいイメージが出やすいかもしれませんね。その厳しい感じはたしかに正解に近いイメージなんですけども、昔から苦行とともに重要視されてきたものが梵行なんです(さきほどはクリスマスな話をしておいて、ここで一気に仏陀の顔が頭の中に出てきますね…)。
梵行について簡単に説明すると、「清らかな行い」のことでして、もう少し噛み砕くと「日頃の自分の整え方」なんです。この中にはもちろん身の回りを整えることも含まれておりまして、ヨガの行者は昔から整理整頓の綺麗好きが良しとされてきたわけです。なので、あのスーパーカオスで有名なインドにおいても、有名な(と言う言葉にはやや違う意味を含んでしまうんですけども…)ヨガの寺は、ビックリするくらい綺麗なんですよ。
小さなお子さんがいらっしゃる家庭では難易度がめちゃくちゃ高いと思うんですけど(子どもって散らかすことが仕事ですもんね)、部屋の中が綺麗に整っている時の方が、思考が明瞭ではないですか。逆にちょっと小汚い空間にいると「よし、仕事するぞ」「勉強するぞ」という気持ちになることって難しいですよね…。
現代ヨガでも「ポーズの前にすることあるよね?」と問いかけておりまして、まずは自分の身の回りを綺麗に掃除することなんです。ご自宅でヨガをされる方はきっとご経験があるんじゃないかと思いますが、散らかった部屋では不思議とヨガのポーズがうまく取れないんですよね。自分の体に意識が集中できない理由は、実は身近なところ、身の回りの整い方によって左右されていることもあるんですよ。
別にこれは風水的な話ではなく、ただのヨガ的な話なんですけど、日頃から掃除や整理整頓を楽しめると、より自分の体への理解が高まるんじゃないかと思います。是非とも今から大掃除される方は、部屋とともにスッキリしていく体の感覚を観察しながら、存分にお楽しみください。江戸時代は皆で一斉に大掃除して、終わったら胴上げしていたらしいですねえ。
Sahanaメルマガ vol.285(2022年12月)より