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Mail Magazine

099:脳と予算配分

スタジオの移転作業だったり、年末年始休暇を理由に、日ごろの勉強や読書を疎かにしておりまして、スローペースながら諸々を再開している最近です。1月も中旬になり、“そろそろいつもの日常が戻ってきたぞ”という感覚が、皆さまにもあるのではないでしょうか。そんな日常に戻ってちょっと頑張った1週間のせいか、先週は体調を崩される方が多かった印象ですので、どうぞ暖かくしてお過ごしください。



ゆっくりと再開していることの中に、ヨガの研究論文の紹介もございまして、「ヨガって本当に体に良いの?」と気になる方は、是非とも「世界のヨガ研究」のページをご覧下さい(このページにリンクが貼付できなくてごめんなさい…)。そもそも、「え?ヨガの研究なんてあるの…?」と思われている方がいらっしゃるかもしれませんが、実は2013-2015年頃から世界的な基準を満たす論文が200以上発表されており(論文にも色々と位があるんです)、2020年~は倍の400以上発表されています。と言いましても、一般的な分野の研究論文は年間1万以上発表されていて普通なので、ヨガの研究は本当にニッチな分野なのです…。



そんなニッチな研究分野でも、頭のいい人たちが研究を続けてくれているわけでして、「あぁ、やはり人間は考える葦なんだなあ」とか思っていたんですが、実は“脳は考える為にあるのではない”という説があるんです。もう少し言葉を正確にしていきますと、”考えるため”に脳が発展してきたという説ではなくて、”複雑化する生命構造をコントロールするため”に脳が大きくなったという考察です。



「脳=考えるためのもの」と当たり前のように思っておりましたが、脳の最も重要な仕事は「エネルギーの需要が生じる前に予測しておくことで、体内の生物学的資源を調節すること」なのです。もちろん脳は、考えたり、感じたり、想像したり、理解したり等、無数の経験や心的能力を生み出しているのですが、それも健康な生活を営むための身体予算(水分や塩分、グルコースや各ホルモン等々)を管理している結果によって得られたものだとされます。



つまり、「この後もう一仕事」という時には、僕たちの意識外で、脳がその為の身体予算を調整しながらエネルギーを引き出しているのです。ここで面白いのが、取得するために何年もかかるような難しい資格や技術を学ぶ時、脳は長期的な身体予算の管理をしているみたいなんです。つまり、最終的な自己の生存と繁栄に利益になるようなことに、継続的な投資をしている状態ということなのです。



年始のメルマガで、目標があるとより楽しいかもしれませんね、なんてことを書きましたが、目標をもって生活していると、意識的にも無意識的にも「未来の自分の為に長期的な投資をしている」だなんて、とても有意義な毎日になりそうですね。そして“自動的に脳が投資し続けている”という言い方が、なんだか壮大なことをしている感じがして、とても好きです。誰もが頭蓋骨の中に持つ、脳みそファンドですね。


Sahanaメルマガ vol.237(2022年1月)より

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