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020:オートファジー
先週末は、外部スタジオのオンライン講座でして、「食欲を抑えるためには…?」というご質問を頂きました。このようなご質問は、講座を開催する度にかなりの頻度でいただいておりまして、皆さまの中にも「(お、私も気になるぞ…!)」という方はいらっしゃるかもしれませんね。
特に僕の専攻は栄養学でなければ、脳神経学でもないのですが、知っている限りの「脳の仕組み」や「心の動き方」を毎回説明させていただいております。そして、いつも最終的には「好きな時に好きなものを食べるのがいいんじゃないですか」と雑にまとめてしまうのですが、、、好きなものを好きなだけ食べられることって、大人の特権ですよね(画面越しに「(うんうん、そうそう)」と頷かれていそうな方を何人か想像できるのですが…笑)。
食欲を感じること自体は悪だと思いませんし、むしろ良いことかと思います。ですが、空腹を感じられる時間は一日の内にどれくらいあるでしょうか?
ついつい食べすぎちゃう人は、「常に何かを口にしている(空腹時間が無い)」または「お腹が空くとイライラしてしまう」ような方が多いかもしれませんね。
おすすめは「空腹との付き合い方」を考えていくことです(反対に「食欲を我慢すること」って、とても辛くないですか…?)。完全に空腹の時に食べる料理は、いつもより美味しく感じるでしょうし、空腹時は家事や仕事が捗り易いかもしれません(満腹だと眠たくなりますよね…)。
僕たちは空腹が続くと死んでしまうので、「空腹=悪」という考え方が強いかもしれませんが、「空腹=善」という考え方もあります。人は、空腹時間が長く続き、やや飢餓状態に陥るとオートファジーと呼ばれる現象が体(細胞)内で起こります。
この現象を簡単に説明すると、「細胞内の老廃物を綺麗する」上に、「それらを集めて必要なタンパク質へと再利用する」というもの。人の体(正確には“真核細胞”なのですが)って、すごくないですか…。成人男性に必要な1日200gのタンパク質の内、120~140gほどをこのオートファジーで補っているらしいです(漫画で分かりやすいオートファジーについてはこちら https://mainichi.jp/articles/20161021/mul/00m/040/00400sc をご覧ください:毎日新聞webへ)。
「空腹=体の中が綺麗になっている」と想像すると、お腹が空く度に「(よしよし、体が綺麗になっているぞ、、、!)」と楽しくなるかも、しれませんね。
そして、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経系疾患や、糖尿病、動脈硬化、痛風、がん等の病気に対して、このオートファジーという働きが、予防や治療に深く関わっていると言われています。
そんな説明を聞くと、「オートファジーすごいな…!」と思いませんか。ちなみに、この軽い飢餓状態というものは、ファスティングのように1日以上食事を抜かずとも、大丈夫です。1日3食から、1日1~2食に変えるだけでいいんです。
ご興味ある方は、是非とも明日から楽しい空腹時間をお過ごしいただければと思います。
ちなみに僕は、かれこれ4年くらい1日ほぼ1食の生活をしているのですが、「オートファジーの為に食事回数を減らしたわけではなく、インドのカレーのせいでこうなってしまった…」という話はこちら https://note.com/shunosuke_h/n/nd8941af81757?magazine_key=md14192df0377 よりどうぞ。
Sahanaメルマガ vol.109より(2020年6月)